01

■ドゥムンの餓鬼

 

その子供は何も知らなかった。
気が付いた時にはそこに生まれていた。
誰からも、何ひとつ与えられなかった。
何ひとつ。自分の名前すらも。
何も知らない。
痛みも苦しみも。
だから、奪う。
食べ物も服も。


その子供が始めて与えられたもの。
それは〈ドゥムンの餓鬼〉という呼び名だった。


02

■ニンゲン

 

ドゥムン南の村クンポルは〈ドゥムンの餓鬼〉討伐を国に要請した。
予想外の来客。
国から派遣されたのは最も残忍な種族〈ニンゲン〉だった。
〈ドゥムンの餓鬼〉は必要以上に残酷なやりかたで虐殺されるだろう。
クンポルの民はそこまでは望んでいなかったのだ。

 

〈ニンゲン〉ボンショー兄弟は歪んだ笑みを浮かべてドゥムンの森へ入っていった。

 

03

■ボンショーの敗北

 

ボンショー兄弟がドゥムンの森へ入って数時間。
クンポルの村長フイワは敵であるはずの〈ドゥムンの餓鬼〉の身を案じ森に入る。
しかし森の中で村長フイワが見た物は

ボロの様に叩きのめされた〈ニンゲン〉の姿だった。
呆然と立ち尽くすフイワ。

 

その時目の前の茂みがガサリと音を立てた。






つづく