■ドゥムンの餓鬼
その子供は何も知らなかった。 気が付いた時にはそこに生まれていた。 誰からも、何ひとつ与えられなかった。 何ひとつ。自分の名前すらも。 何も知らない。 痛みも苦しみも。 だから、奪う。 食べ物も服も。 その子供が始めて与えられたもの。 それは〈ドゥムンの餓鬼〉という呼び名だった。
■ニンゲン
ドゥムン南の村クンポルは〈ドゥムンの餓鬼〉討伐を国に要請した。 予想外の来客。 国から派遣されたのは最も残忍な種族〈ニンゲン〉だった。 〈ドゥムンの餓鬼〉は必要以上に残酷なやりかたで虐殺されるだろう。 クンポルの民はそこまでは望んでいなかったのだ。
〈ニンゲン〉ボンショー兄弟は歪んだ笑みを浮かべてドゥムンの森へ入っていった。
■ボンショーの敗北
ボンショー兄弟がドゥムンの森へ入って数時間。 クンポルの村長フイワは敵であるはずの〈ドゥムンの餓鬼〉の身を案じ森に入る。 しかし森の中で村長フイワが見た物は
ボロの様に叩きのめされた〈ニンゲン〉の姿だった。 呆然と立ち尽くすフイワ。
その時目の前の茂みがガサリと音を立てた。